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再処理施設及びMOX燃料加工施設における重大事故等の事象進展に係る研究(令和3年度~令和7年度)

研究概要

研究課題

令和2年4月からから施行された原子力規制検査では、合理的な範囲でリスク情報を活用することとされており、再処理施設及び混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)加工施設における検査でもリスク情報の活用を行うことが重要と考えられます。このようなリスク情報を得るに当たっては、これらの施設において想定される事故について、適切なシナリオを構築する必要があり、そのため、注目する事故シナリオに関するデータや解析コードが必要となります。

研究項目

再処理施設及びMOX燃料加工施設では、重大事故又はそれに関連する事故として様々な事象が想定されており、本プロジェクトではこれらの事故のうち、(1)再処理施設では高レベル廃液貯槽における冷却機能の喪失による蒸発乾固事象(※1)、(2)MOX燃料加工施設ではグローブボックス(以下「GB」という。)(※2)火災に着目し、これらの現象を理解するための試験や解析を行います。

※1(蒸発乾固事象):再処理工程で分離された高レベル濃縮廃液は自己発熱しているため、常に冷却する必要があります。蒸発乾固事象は、何らかの原因で冷却機能が喪失し、廃液が自己の熱で沸騰・蒸発・乾固に至る事象で、その過程で大量の放射性物質が空気中に放出される可能性があります。特に廃液に含まれるRuは、揮発性の化合物となる可能性があるため、本事象において着目される元素となります。同様に廃液に含まれるCsは乾固に至った状態では、揮発性の化合物となる可能性があり、同様に着目される元素となります。
※2(グローブボックス):放射性物質を閉じ込めて取り扱うための気密性の箱型設備で、内部の放射性物質や設備の取扱いは壁面に取り付けられたグローブを介して内部に手を入れて行います。ボックス本体の構造材はステンレス板などが用いられますが、内部の視野を確保するため一部の壁面に透明なアクリルやポリカーボネイトなどの樹脂、ガラスなどが用いられています。

研究内容

(1)冷却機能の喪失による蒸発乾固事象

蒸発乾固事象(図1)において重要となるルテニウム(Ru)に着目し、高レベル廃液の「沸騰初期段階」、「沸騰晩期段階」及び「乾固段階」において、最新の再処理施設の重大事故対策や実施設環境を踏まえて想定される条件下に拡張したRuの移行挙動データを取得します。また、「放出経路中での放射性物質移行挙動」を把握するために重要な現象である凝縮液へのRuの化学吸収効果をより詳細に把握するためのデータの拡充を行うほか、「乾固後の温度上昇段階」において放出が予想されるセシウム(Cs)の移行挙動についてもデータを取得します。さらに、長期的な目標として事象進展解析コードの整備に向けた検討を進めていきます。

蒸発乾固事故の事象進展に応じた放射性物質等の移行挙動の概念図の画像
図1 蒸発乾固事故の事象進展に応じた放射性物質等の移行挙動の概念図
(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、平成31年度原子力規制庁委託成果報告書再処理施設等における火災事故時影響評価試験、令和2年3月 より引用)

(2)GB火災

GB火災に関する研究では、これまで小規模・中規模試験等により、基礎的な知見を取得してきました。一方、GB火災の燃焼挙動は、GBの大きさ及び構成(材料パネルの設置位置、開口部の有無等)にも大きく影響されるため、これらの知見を取得する必要があります。本プロジェクトでは、実際のGBを模擬した実規模の試験データに基づく解析等により、当該知見を取得します(図2)。

GB火災における試験規模の推移の画像
図2 GB火災における試験規模の推移

成果の活用先

本プロジェクトで得られた知見は、原子力規制検査制度に基づく再処理施設及びMOX燃料加工施設の検査において、検査の実施方針の作成、検査指摘事項の重要度評価等を行う際の技術基盤として活用されます。

上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。

研究計画

令和5年度安全研究計画【PDF:15.4MB】
(102~109ページ)

安全研究成果報告

プロジェクト終了後に掲載予定

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