廃棄物埋設における長期性能評価に関する研究(令和3年度~令和6年度)
研究概要
研究課題
放射性廃棄物の処分に関する安全規制では、地中に埋設した放射性廃棄物がその種類によっては数万年という長期間にわたって私たちの生活環境に重大な影響を与えないことを求めており、放射性物質の漏出を防止するために設置されるバリア材の性能評価や自然事象(※1)の評価が重要な研究課題となっています。
※1(天然バリア):漏出した放射性物質の生活環境への移行を抑制する岩盤又は地盤
研究項目
本プロジェクトは、(1)天然バリアの自然事象(※2)を考慮した長期特性に関する研究、(2)廃棄物埋設施設の長期性能に関する研究、(3)モニタリング孔の埋戻し確認等に関する研究を行っています(図1)。
※2(自然事象):岩盤中の緩やかな地下水流れやそれに伴う化学環境の変化を含めた自然現象に起因する事象
図1 中深度処分の成立性を確認するための主な観点
研究内容
(1)天然バリアの自然事象を考慮した長期特性に関する研究
放射性廃棄物から漏出した放射性物質が、埋設坑道(※3)周辺や地下環境で僅かしか移動しない条件を検証するため、地質・水理調査、試験、地下水流動シミュレーションを行い、数万年を超える長期間の地下水の流れ及び地下環境に関する知見を取得します(図2)。また、放射性廃棄物を埋設するトンネルを掘削した際に周囲の岩盤に入るひび割れによる、地下水の流れへの影響を把握するために、岩石試料を用いた室内試験と、実際のトンネル壁面での観測を組み合わせた検討を行います(図3)。
※3(埋設坑道):放射性廃棄物を地中に埋設するために掘削した坑道
図2 ボーリング調査、地下水流動解析、水質形成解析を組み合わせた地下水評価手法
図3 岩石試料を用いた力学・水理学連成試験
(2)廃棄物埋設施設の長期性能に関する研究
放射性物質の漏出を防止するバリア材(コンクリートや粘土)の長期間にわたる性能評価の信頼性を高めるため、試験及びシミュレーションを行い、劣化の進展に関する知見を取得します。
(3)モニタリング孔の埋戻し確認等に関する研究
放射性物質漏出等のモニタリングに使用されるボーリング孔は、最終的には放射性物質の移動経路にならないよう埋め戻すことになるため、適切に埋め戻されていることを確認するための手法を検討します。また、廃棄物埋設地から漏出した放射性物質の河川、沿岸海洋、土壌等の生活環境中での移動挙動の評価の信頼性を高めるため、調査及びシミュレーションを行います。
成果の活用先
これらの研究を通じて得られた成果は、今後事業許可申請が予想されます中深度処分廃棄物埋設施設の審査等で活用されます。
上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。
評価
安全研究に係る事前評価結果【PDF:1.2MB】
(1、15~17ページ)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定