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重大事故進展を踏まえた水素挙動等に関する研究(令和5年度~令和8年度)

研究概要

研究課題

東京電力福島第一原子力発電所(以下「1F」という。)の事故に関する調査分析を通じて、原子炉建屋中間階における水素爆発(注1)、水素爆発時における可燃性有機物の混合・燃焼の可能性(注2)、シールドプラグ(注3)下面の高濃度の汚染やペデスタル部における鉄筋コンクリートの骨材消失(注4)などが確認されました。これらの事象は、原子炉格納容器からの水素の漏えい挙動、事故進展や溶けた炉心が拡がる挙動などにより支配されていると考えられます。そのため、これらの挙動に対してどのように規制を行うのか(例えば、重大事故等対処設備の設置を求める必要があるか等)を判断するための知見を取得することが必要となっています。

  • 注1(原子炉建屋中間階における水素爆発):1Fの事故では水素が原子炉格納容器の上部から原子炉建屋最上階に移行して水素爆発を起こしたと考えられていたが、1Fの事故に関する調査分析で原子炉建屋中間階でも水素爆発が発生した痕跡が確認されたことから、原子炉格納容器の上部以外の箇所から水素が漏えいした可能性が指摘されている。
  • 注2(水素爆発時における可燃性有機物の混合・燃焼の可能性):水素が燃焼した場合は無色の火炎を発生するが、1Fの事故に関する調査分析では、水素爆発発生時に有色の火炎が発生していることが撮影された映像から確認されたことから、メタンやエタン等のような可燃性有機物が発生し、水素とともに燃焼した可能性が指摘されている。
  • 注3(シールドプラグ):原子炉格納容器上蓋の上部に設置されている原子炉からの放射線を遮へいする構造物のこと。
  • 注4(ペデスタル部における鉄筋コンクリートの骨材消失):炉心の冷却機能が喪失する事象が発生した場合、原子炉圧力容器を貫通した高温の溶融物は原子炉圧力容器下部に設けられているコンクリート構造物で囲まれた空間(ペデスタル部)に落下し、ペデスタル部の鉄筋コンクリート構造物を溶かす溶融炉心―コンクリート相互作用(MCCI)が生じると想定されていたが、1Fの事故に関する調査分析で、ペデスタル部の鉄筋コンクリート構造物のコンクリート骨材が消失して鉄筋コンクリートのみが残存していることが確認されたことから、従来想定していた高温の溶融物とは異なる挙動となっていた可能性が指摘されている。

研究項目

国内外の最新知見を反映して、(1)原子炉格納容器からの水素漏えい挙動に関する評価、(2)可燃性有機物を含む水素の挙動に関する評価、(3)事故進展及びソースタームに関する評価及び(4)溶融炉心挙動に関する評価を行い、現象に関する知見を取得・拡充します。

研究内容

(1)では、重大事故時における原子炉格納容器からの水素の漏えい挙動(図1)を明らかにするために、原子炉格納容器上蓋のような原子炉格納容器接合部に設けられているシール部からのガスの漏えい挙動を調べる実験を行い、シール部からのガスの漏えいの様相に関する知見を取得します。

原子炉格納容器周りの構造及び原子炉格納容器上蓋のフランジ部付近の構造並びに重大事故時に想定される水素等の漏えい経路の画像
図1 原子炉格納容器周りの構造及び原子炉格納容器上蓋のフランジ部付近の構造並びに重大事故時に想定される水素等の漏えい経路

(2)では、原子炉格納容器内部に設置されている電源ケーブル等の被覆材等が重大事故時に高温のガスや溶融物と接触すると可燃性有機物を発生させるおそれがあります(図2)。これらが原子炉格納容器内で発生した水素と混合することで原子炉建屋内での水素爆発にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために、可燃性有機物の発生及び可燃性有機物を含む水素の燃焼に関する知見を取得します。

重大事故時に想定される原子炉建屋内における可燃性ガスの挙動の画像
図2 重大事故時に想定される原子炉建屋内における可燃性ガスの挙動

(3)では、シールドプラグ下面の高濃度汚染や原子炉建屋最上階及び中間階での水素爆発等に着目した知見を取得するために、シビアアクシデント総合解析コードMELCORを用いて、確率論的リスク評価(PRA)(注5)から選定される代表事故シーケンスについて事故進展解析を実施しソースターム(注6)を整理します。(図3)

  • 注5(確率論的リスク評価(PRA)):事故やトラブルが発生する原因を分析し、これらが発生したときの影響を評価し、炉心が損傷する頻度などのリスクを体系的に評価すること。
  • 注6(ソースターム):環境へ放出される放射性物質の核種や量、それらの放出タイミング等のこと。

事故進展及びソースターム評価の画像
図3 事故進展及びソースターム評価

(4)では、原子炉格納容器内における溶融デブリ(注7)の冷却挙動や分布挙動等のメカニズムに関する知見を拡充するために、3次元のデブリベット形成に関する解析コードTHERMOSによりペデスタルに冷却水がない条件及びある条件(図4)でのデブリ挙動を評価します。

注7(溶融デブリ):溶融した炉心燃料と溶融した炉心構成物質及び多くの溶融した構造材を巻き込んだ溶融物のこと。

溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性モデルの画像
(a) 冷却水がない場合(b) 冷却水がある場合
図4 溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性モデル

成果の活用先

本プロジェクトで得られた成果は、重大事故緩和対策などの規制への取り入れ等の判断に活用されます。上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。

研究計画

令和5年度安全研究計画【PDF:15.4MB】
(66~74ページ)

安全研究成果報告

プロジェクト終了後に掲載予定

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