現在位置

  1. トップページ
  2. 安全研究・調査
  3. 安全研究
  4. 安全研究の分野
  5. 火災防護
  6. 火災防護に係る影響評価に関する研究(フェーズ2)(令和3年度~令和6年度)

火災防護に係る影響評価に関する研究(フェーズ2)(令和3年度~令和6年度)

研究概要

研究課題

火災は共通原因故障を引き起こす起因事象の中でも重要な事象の一つであることから、様々な火災事象(火災起因の事象も含む。)に対して一層の影響低減を図ることが求められています。現在、電気火災の一種であるアーク放電(※1)による爆発・火災現象への対応や火災に起因する電気ケーブル(以下「ケーブル」という。)の短絡・地絡・ホットショート(※2)をどのように評価するかが重要な研究課題となっています。

※1(アーク放電):電極間にある気体に持続的に発生する絶縁破壊(放電)の一種。負極・正極間の気体分子が電離しイオン化が起こり、熱プラズマを生み出しその中を電流が流れる。結果的に、普段は伝導性のない気体中を電流が流れることになる。この途中の空間では気体が励起状態になり高温と閃光を伴う。
※2(ホットショート):火災による熱の影響でケーブル間の絶縁材が破壊され短絡し、異なるケーブル間が電気的に接続される事象。

研究項目

本プロジェクトは、(1)アーク放電による爆発・火災現象への対応として、高エネルギーアーク損傷(HEAF)(※3)の影響評価、(2)火災に起因するケーブルの短絡・地絡・ホットショートへの備えとしてケーブルの熱劣化評価、(3)様々な火災事象に対する火災影響評価手法等の整備に係る研究を行います。

※3(高エネルギーアーク損傷(HEAF)):遮断器や開閉器などの通電された導体間、又は通電された部品とアースの間に大電流のアーク放電が発生し、熱、光、金属の蒸発及び圧力上昇を伴って、急激なエネルギーの放出が起こる事象として特徴付けられる爆発性の電気故障。

研究内容

(1)では、2011年3月に東北電力女川原子力発電所で発生したアーク放電による電気盤火災を模擬した試験・解析を行うとともにその影響範囲を評価して(図1)、高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイドの見直しの要否の検討に資する知見等を取得します。

東北電力女川原子力発電所の電気盤火災を模擬した試験の一例の画像

電気盤火災の再現試験
(アーク放電による爆発現象)

東北電力女川原子力発電所の電気盤火災を模擬した影響評価の一例の画像

アーク放電による爆発の影響評価の一例

図1 東北電力女川原子力発電所の電気盤火災を模擬した試験及び影響評価の一例

(2)では、ケーブルが火災時の熱の影響を受けその絶縁抵抗が急激に低下するという現象を踏まえ、図2に示すような原子力施設の建屋内における火災源近傍のケーブル、煙プルーム中のケーブル、高温ガス中に存在するケーブル及びトレイ内ケーブルを模擬した熱劣化(絶縁低下)データを取得するための試験を行い、ケーブル絶縁体の加熱による絶縁低下速度から絶縁抵抗の低下予測式を整備して、様々なケーブルに対する短絡・地絡・ホットショートの可能性について評価します。

火災によって加熱されるケーブルの一例の画像

加熱されるケーブルの例

ケーブル熱劣化試験の一例の画像

ケーブル熱劣化試験の一例

図2 火災によって加熱されるケーブルの例及びケーブル熱劣化試験の一例

(3)では、火災防護に係る規制に関する火災試験データ等に対して、火災解析コードの検証と妥当性確認を行うとともにその不確かさに係る知見を蓄積することにより、火災影響評価手法等をより信頼性の高いものにします。

成果の活用先

これらの研究成果は、火災防護に係る審査基準や影響評価ガイド等(※4)の見直しの要否の検討に必要な知見として活用されるとともに火災防護に係る適合性審査及び検査の中で適時活用されます。

※4(火災防護に係る審査基準や影響評価ガイド等):具体的には、実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準、原子力発電所の内部火災影響評価ガイド、原子力発電所の外部火災影響評価ガイド及び高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド。

上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。

研究計画

令和5年度安全研究計画【PDF:15.4MB】
(44~49ページ)

安全研究成果報告

プロジェクト終了後に掲載予定

ページ
トップへ