津波評価手法及び既往津波の波源推定に関する研究(令和3年度~令和6年度)
研究概要
研究課題
津波に対する原子力施設の適切な安全規制を実施するためには、津波を生み出す元になる波源や規模、発生頻度、これらの情報の不確かさ等に係る最新知見を常に取得し、規制基準や審査等に随時反映させていく必要があります。本プロジェクトでは、特に津波の影響を検討する際に用いられるモデルにおいて設定が必要な波源の特性や規模の評価に関して審査等の際の判断に必要な知見を収集し、整備するための研究を行っています。
研究項目
本プロジェクトでは、(1)海溝軸付近で発生する津波の初期水位設定方法に関する研究及び(2)既往の巨大津波の波源推定に関する研究を行っています。
研究内容
(1)従来、津波の影響を検討する際に用いられるモデルの初期水位の設定に当たっては、海底の地殻の鉛直方向の動きを海面に与える方法が用いられていましたが、近年、地殻の水平方向の動きを考慮する方法が提案され、この考え方が一般的になりつつあります(図1)。そのため、この地殻の水平方向の動きによる津波の初期水位の生成過程のメカニズムを解明し、その特徴を考慮して、海溝軸付近で発生する津波の初期水位の設定方法の改良を図っています。
図1 津波初期水位設定のイメージ
(2)過去の巨大津波の中には、発生の記録はあるものの、1611年慶長三陸地震津波など、その波源の位置や規模が明確に定まっていないものがあります(図2)。地質学的証拠である津波堆積物は過去数千年前までの情報を保持しており、過去の巨大津波の発生履歴の解明等に有効と考えられます。しかし、津波堆積物には、津波由来かどうかの確からしさ(信頼度)や推定される発生年代の幅等に係る不確かさが伴います。そのため、当部門で過年度に整備した「津波堆積物に基づく津波波源推定手法」を1611年慶長三陸地震津波に適用するとともに、津波堆積物の不確かさが、波源の推定に与える影響について検討します(図3)。
図2 1611年慶長三陸津波の津波波源に関する知見の整理
図3 津波堆積物を用いた津波波源推定のイメージ
成果の活用先
これらの研究で得られた成果は、各原子力施設が津波を適切に想定しているか、審査においてその妥当性を判断する際に、活用される予定です。
上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。
評価
安全研究に係る事前評価結果【PDF:1.2MB】
(1~4ページ)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定