放射線防護のための線量及び健康リスク評価の精度向上に関する研究(令和4年度~令和8年度)
研究概要
研究課題
放射線防護の基礎となるのは、放射性物質等の放射線の発生源から人体が受ける放射線の量(線量)と、その際に人体に発生する健康への影響(健康リスク)との関連付けです。したがってこの両者がそろって適正に評価されることが不可欠です。新たな科学的知見に基づいて、線量評価および健康リスク評価の精度向上に継続的に取り組み、放射線規制関連法令等に適切に反映させることが重要な研究課題となります。
研究項目
本プロジェクトは、放射性物質を体の中に取り込んだときの被ばく線量を適正に評価するための「内部被ばく評価コード」の開発と、放射線被ばくによる健康リスクを適正に評価するための「放射線健康リスク評価コード」の開発を行っています。
研究内容
現在、国際放射線防護委員会(ICRP)の最新の主勧告である2007年勧告を国内法令等へ取り入れるための審議が、放射線審議会において進められています。放射性物質はその種類と物理的・化学的形態によって、人体に取り込んだ際に人体に与える線量が異なるため、一つ一つの種類・形態について取り込み量から線量を求めています。最新の勧告を法令等に取り込むためには、勧告が示す線量の求め方を検証し、さらに不足を補う必要があります。また、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験から、ホールボディカウンター等の測定値を用いて被ばく線量を精度よく、あるいは迅速簡便に推定するツールが求められています。これらのことから、内部被ばく評価コードの開発を進めています(図1)。
図1 被ばく線量評価コードの開発の概要
放射線防護基準の根拠として用いられる健康リスクは、被ばく線量が増加するとがんで死亡するリスクがどの程度増加するかについて、集団全体の平均的な値を用いています。しかし実際にはがん死亡リスクは、性別・年齢・生活習慣等によって差が生じます。このため、最新の知見を踏まえ、放射線健康リスクをより精緻に推定するコードの開発を進めています(図2)。
図2 放射線健康リスク評価コード開発の概要
成果の活用先
内部被ばく線量評価コードは、法令が定める濃度限度の改正等に活用されます。放射線健康リスク評価コードは、放射線リスクの定量的な根拠を提供するツールとして、緊急時における防護戦略の見直し等に活用されます。
上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。
評価
安全研究に係る事前評価結果【PDF:2.2MB】
(1、3ページ)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定