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軽水炉の重大事故時における不確実さの大きな物理化学現象に係る解析コードの開発(平成29年度~令和4年度)

研究概要

研究課題

重大事故時の格納容器機能維持のためには、格納容器の機能喪失の要因となる物理化学現象の発生によって生じる格納容器への負荷の程度を評価することが重要です。特に、炉心の損傷によって溶けた燃料等のデブリの格納容器の底部への落下、堆積、拡がり、冷却等の挙動は複雑なメカニズムによって支配され、高温のデブリとコンクリートが反応してコンクリートを分解する溶融炉心―コンクリート反応(MCCI)等を防止するための対策をより確かなものにするためには、実機に対して解析した評価の結果の確かさが重要になります。このため、実験で取得した詳細なデータに基づいて実機の解析評価を可能とする解析コードの開発が重要な課題です。

研究項目

国内外の最新知見を反映して、(1)溶融燃料‐冷却材相互作用解析コード(注1)、(2)溶融炉心‐コンクリート相互作用解析コード(注2)、(3)キャビティ注水時のデブリ冷却性解析コード(注3)、(4)放射性物質生成・移行・除去解析コード(注4)の開発を行います。

  • 注1(溶融燃料‐冷却材相互作用):高温の溶融燃料が冷却材と接する状況。大量の熱が短い時間に冷却材に伝わるため水蒸気爆発などの急激な現象が引き起こされることがある。
  • 注2(溶融炉心‐コンクリート相互作用):炉心が溶融してできた高温デブリが格納容器に落下し十分な冷却ができないと、格納容器下部のキャビティ又はペデスタルを形成するコンクリートが、溶融炉心によって侵食される現象。
  • 注3(キャビティ注水時のデブリ冷却性):高温の溶融デブリがキャビティ又はペデスタルに落下した際、プール水や注入水による冷却がどの程度あるかという度合い。十分ではない場合、床面のコンクリートに侵食が発生し、ベースマットやライナ金属等の溶融貫通が発生する可能性がある。
  • 注4(放射性物質生成・移行・除去):重大事故により発生した放射性物質は、気体状、揮発性、難揮発性などで、多くはエアロゾルなどの粒子状となり移行する。その過程で、フィルターやスクラビングなどがあれば、放射性物質は除去される。

研究内容

(1)では、原子炉容器の破損口から落下した高温の溶融燃料が水(冷却材)と接触することによって水蒸気爆発のような機械的エネルギーに変換する現象が生じます。この現象を同定し、数値モデルを開発します。また、水蒸気爆発等によって飛散したデブリが気相中で粒子化したり、水中で粒子化したデブリが集積したりする現象も解析できる解析コードの開発に取り組みます(図1)。

溶融燃料‐冷却材相互作用モデルの画像
図1 溶融燃料‐冷却材相互作用モデル

(2)では、格納容器下部のキャビティ周辺に堆積したデブリによるコンクリートの様々な方向への侵食を扱うことができる解析コードを開発します(図2)。

コンクリート侵食(MCCI)解析の画像
図2 コンクリート侵食(MCCI)解析

(3)では、国内で得られた知見に基づき開発した複雑な多孔質体であるデブリの塊(デブリベッド)内の熱流動に関する数値モデル及び解析コードの改良を行います(図3)。

デブリベッド形成概念図の画像
図3 デブリベッド形成概念図

(4)では、ソースタームに関する種々の実験から得られたデータや知見を取り入れた、ソースターム評価モデルを開発します。

成果の活用先

本プロジェクトで得られた成果は、原子炉施設の格納容器破損防止対策の有効性評価に関する審査の中で適宜活用されます。また、将来的な安全性向上に係る評価の高度化にも適宜活用します。

上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。

研究計画

令和4年度安全研究計画【PDF:15.4MB】
(61~66ページ)

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