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事故耐性燃料等の事故時挙動研究(令和6年度~令和10年度)

研究概要

研究課題

発電用原子炉の更なる安全性向上のため、冷却材喪失事故(LOCA)(注1)などの燃料が高温になる事故が発生した場合でも、燃料が高温で酸化しにくく、反応熱や水素ガスの発生が抑えられ、燃料の溶融や水素ガスの爆発による事故の進展を抑制する様々な種類の事故耐性燃料(ATF:Accident Tolerant Fuel)の開発が世界的に進められています。開発中のATFのうち、ジルコニウム(Zr)合金被覆管表面にクロミウム(Cr)を薄くコーティングした燃料棒(図1)の比較的早期の導入が見込まれています。このATFはCrコーティングの効果により高温で酸化しにくく、その結果、水素ガスの発生も抑えられると期待される一方で、ZrとCrが接触した部分で、それぞれの融点より低い温度で溶ける共晶溶融を起こすこと等が知られており、事故により高温状態になった場合に、燃料安全性に対してCrコーティングがどのような影響を与えるかを明らかにすることが重要です。

また、高燃焼度まで使用された従来型燃料(注2)を対象とした事故を模擬した実験において、被覆管内の燃料ペレットが細片化し、被覆管の破裂とともに被覆管外へ放出される等の、現行規制基準の策定当時には観察されていなかった破損形態が報告されています。発電用原子炉において、事故時にこのような破損が発生する可能性を検討するためには、発生条件等を詳細に調べる必要があります。特にウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX:Mixed Oxide)燃料については世界的にも細片化に関する実験データが少なく、データを拡充して原子炉安全性への影響等について検討することが重要です。

Crコーティング被覆管燃料棒の概念図nの画像
図1 Crコーティング被覆管燃料棒の概念図

注1(冷却材喪失事故):原子炉の冷却材として使用される水が配管の破断等により失われ、燃料の温度が上昇する事故。
注2(高燃焼度まで使用した燃料):原子炉での使用期間が長く、核燃料物質の消費割合が高い燃料。

研究項目

本プロジェクトでは、ATF及び高燃焼度まで使用された従来型燃料それぞれについて、(1)LOCA時、(2)反応度投入事故(RIA)(注3)時に生じうる燃料損傷について、実験や解析を行います。

注3(反応度投入事故):原子炉の核分裂反応を制御する制御棒の急速な引き抜きや落下により原子炉の出力が急激に上昇する事故。

研究内容

ATFあるいは高燃焼度まで使用された従来型燃料に対し、(1)では原子炉炉心から冷却材が失われるLOCAを模擬する実験装置(図2)により、1200℃程度まで短尺の燃料棒を加熱する実験、(2)では原子炉安全性研究炉(NSRR)(図3)を用いて、1秒以下の時間で短尺燃料棒を急速に加熱するRIAを模擬した実験を実施して、燃料の変形や破損条件等のデータを取得します。また、観察された燃料挙動のモデリングや解析を実施して、事故時燃料挙動等について理解を深めるとともに、燃料損傷が原子炉の冷却性に与える影響を評価します。

図2 LOCA模擬実験装置の概要の画像
図2 LOCA模擬実験装置の概要(注4)

注4 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 安全研究センター、「令和4年度原子力規制庁委託成果報告書
原子力施設等防災対策等委託費(燃料破損に関する規制高度化研究)事業(令和4年度分)」

原子炉安全性研究炉(NSRR)の画像
図3 原子炉安全性研究炉(NSRR)(注5)

注5 燃料安全研究グループ:国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 安全研究センター 燃料安全グループ研究内容
https://www.jaea.go.jp/04/anzen/group/fsrg/index.html

成果の活用先

本プロジェクトで得られた知見は、ATF導入の際の安全評価の妥当性に対する規制判断の技術的根拠として活用するとともに、必要に応じて規制基準等が示されている指針類の見直し要否の検討に活用します。

上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。

安全研究成果報告

プロジェクト終了後に掲載予定

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