断層の活動性評価に関する研究(令和2年度~令和5年度)
研究概要
研究課題
大きな地震を引き起こす断層(震源断層)について、断層がいつ動いたか、その頻度と発生した地震の規模を把握するための調査を行い、原子力施設に発生が見込まれる地震の揺れ(基準地震動)を想定することが求められています。この震源断層に加えて、地表付近には地震活動に伴って形成される断層や地すべり等も存在しており、それらが活動することで、地盤に変位(ずれ)を与え、状況によっては原子力施設に重大な影響を与える可能性もあるため、それらの成因や活動年代を調査することが重要です。本プロジェクトでは、これら断層や地すべり等の活動性に係る知見を収集し、手法の適用性を整備するための研究を行っています。
研究項目
本プロジェクトでは、主に(1)断層の認定及び成因の評価、(2)活断層の活動履歴及び頻度の評価について研究を行っています。
研究内容
(1)活断層及び長期間活動していない断層について、断層がかつて動いた際に砕かれ、すり潰されてできた物質中に含まれる鉱物の結晶構造や化学的な性質等を把握し、両者の比較を通じて断層の活動性評価を行います(図1)。また、断層による変位・変形と類似しているものの、地下への連続性が不明である等、成因が不明なものについても調査を行い、断層や地すべり等の識別手法の検討も行います(図2)。
図1 断層破砕物質を指標にした断層の活動性評価のイメージ
図2 成因が不明な変位・変形の識別調査のイメージ
(2)断層の活動時期や活動頻度を把握するために、重要な指標である火山灰の識別、同定及び年代決定を、精緻な年代決定が可能な深海底堆積物を主に活用して行います(図3)。また、隆起海岸地形を指標にした沿岸に位置する断層の活動やプレート間地震(図4)、地震の揺れに伴って発生した斜面堆積物(イベント堆積物)を指標にした過去の地震(図5)に対して、これらの時期及び頻度の把握を行います。
図3 深海底堆積物(コア)を用いたテフラ(火山灰)年代決定の検討イメージ
図4 離水海岸地形(隆起ベンチ等)の例
図5 イベント堆積物の年代評価と精緻化に関するイメージ
成果の活用先
これらの研究で得られた成果は、各原子力施設が断層・地すべり等の活動性を適切に評価しているか、審査においてその妥当性を判断する際に、適宜活用されています。
上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。
研究計画
令和5年度安全研究計画【PDF:15.4MB】
(15~23ページ)
評価
安全研究に係る事前評価結果【PDF:320KB】
(1、4~6ページ)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定