外部事象に係る施設・設備のフラジリティ評価手法の高度化に関する研究(令和3年度~令和6年度)
研究概要
研究課題
地震や津波等に対する原子力施設の安全規制を的確に実施するためには、規制基準の整備とその適用に必要な技術的知見の取得及び個別の技術的判断の根拠となる知見を取得することが重要です。特に、原子力施設や設備の審査・検査を厳格かつ適切に行う上で、原子炉建屋、原子炉を格納する容器、防潮堤といった施設や設備が地震や津波等の影響に対して、どの程度まで耐えることができるか等を評価することが重要な研究課題となっています。
研究項目
本プロジェクトは、地震や津波等の外部事象が原子力施設や設備へ与える影響評価に関する知見を拡充するために、(1)地震による施設や設備への影響、(2)防潮堤等に作用する津波、(3)飛来物の衝突による施設や設備への影響に関して実験や解析を用いて研究を行います。
研究内容
(1)過去に大きな地震を受けた機器設備が地震に対してどの程度の力に耐えることができるか(図1)、地震時の地盤の液状化が構造物へどの様な影響を及ぼすか(図2)、原子炉を格納する設備(鉄筋コンクリート製の容器)が事故により高温状態となることで原子炉建屋へどの様な影響を及ぼすか(図3)等の評価に関する手法の適用性を確認します。
図1 地震を受けた機器設備の影響評価(振動試験の様子)
図2 高温状態等の影響を受けた建屋のイメージ
図3 地盤の液状化による施設への影響評価(模型実験の様子)
(2)ヘドロ状の堆積物が混入した津波の発生条件を検討するとともに、それが防潮堤に及ぼす影響を把握します(図4)。
図4 ヘドロ状の堆積物が混入した津波の発生条件の検討(水理試験の様子)
(3)飛来物が原子力施設へ衝突する場合を想定して、実際の施設の形状を考慮した構造物への衝突や地中に埋設されている構造物が設置される地盤への貫入による影響(図5)、飛来物の衝突により衝撃力を受けた機器設備の挙動(図6)に関する評価手法の適用性を確認します。
図5 地中構造物が設置される地盤への貫入のイメージ
図6 衝撃力を受けた機器設備の挙動評価(衝撃振動試験の様子)
成果の活用先
これらの研究で得られた成果が、規制基準や関連ガイドの策定・見直し、原子力施設の審査等に適宜活用されることで、原子力施設の安全規制に貢献します。また、地震や津波時の原子力発電所への影響度合いの評価(リスク評価手法)の精緻化に活用されることで、原子力規制検査に貢献します。
上記のより詳しい内容については、研究計画をご覧ください。
評価
安全研究に係る事前評価結果【PDF:1.2MB】
(1、5~7ページ)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定