緊急情報
24時間以内に緊急情報はありません。
更新する
情報提供
3日以内に情報提供はありません。
更新する

現在位置

  1. トップページ
  2. 原子力規制委員会について
  3. 原子力規制委員会関連
  4. 講演・挨拶等
  5. 山中委員長職員訓示(東京電力・福島第一原子力発電所の事故から14年にあたって)

山中委員長職員訓示(東京電力・福島第一原子力発電所の事故から14年にあたって)

令和7年03月11日
原子力規制委員会委員長 山中 伸介

東日本大震災、そして東京電力・福島第一原子力発電所事故の発生から14年が経ちました。
毎年、3月11日には、原子力規制委員会の職員の皆さんに向けて福島に思いをはせて日々心にとどめていただきたいことをお話してまいりました。今年は、また新たな気持ちでお話をしたいと思います。是非、自分自身に語られていると思って話を聞いて下さい。所属部署に依らずそれぞれの方が自分の事として聞いて欲しいと考えています。

震災後14年の歳月が経ち、現在約1100名の職員のうち、役所であの事故を経験した職員は、全体の約1割です。直接事故対応した職員は更に少ないと思います。規制委員会の発足の原点である東京電力福島第一原子力発電所事故を振り返ることの大切さは変わらないものの、事故の経験の伝承は年々難しくなっていると思います。

職員一人一人に原点を思いかえして頂くために、今年は「原子力安全文化・核セキュリティ文化に関する宣言カード」を印刷し、それぞれの職員に改めて配布をして頂きました。このカード、お手元に届いていますでしょうか?
すでに、宣言を記入頂いた方も居られるかと思いますが、まだの方は、今一度、組織理念や安全文化等を今一度見直して頂いて、宣言を記入して下さい。
私は、宣言には「原子力に100%の安全はない、福島は私の大切な現場です」このように書いています。毎週の定例の記者会見の前には、原点を忘れず、謙虚さを忘れないように、必ずこのカードを見るようにしています。

規制や技術に係わらない部署に所属している職員の皆さんは、今の素直なお気持ちを記入して頂ければ結構です。今年一年、色々な職員の皆さんとお話ししてみて下さい。これから毎年3月11日には、職員の皆さんにこのカードを配布し、気持ちを新たにして、宣言を記入していただくつもりです。規制委員会の組織や文化への理解、ご自分の仕事への向かい方の変化、そしてご自分の成長が必ずこの宣言に現れるはずです。

さて、次年度から新しい中期目標期間が始まります。5年間の規制委員会の活動の目標となる大切な事柄ですので、今日は中期目標について皆さんにお話をしたいと思います。次期中期目標の策定においては、職員の皆さんからのご意見も伺い策定の参考にさせていただきました。最初にも述べましたように、これからの規制委員会は、職員一人ひとりの意見が大切であり、その能力が最大限生きる組織として存在しないといけないと考えております。

組織目標は、これまで通り原子力に対する確かな規制を通じて人と環境を守ること、です。この組織目標の実現に向けて、I.独立性・中立性・透明性の確保と組織体制の充実、II.安全規制の厳正な実施と基盤の充実、III.核セキュリティ対策と保障措置の推進、IV.東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉と事故調査分析、V.放射線防護対策と緊急時対応、五つの項目については大きく変わっておりません。しかし、その内容については、成果目標と施策目標を示すなど、全ての職員に5年間の目標が分かりやすい構成と表現にしております。一度ぜひ目を通してください。

まず、独立性・中立性・透明性の確保と組織体制の充実についてお話をします。この項目については、組織理念や文化に直結する部分であるので、職員一人一人が理解し、情報が共有されることが重要です。規制や技術に関わらない職員の皆様には分かり難い言葉も多いので、本年から直接委員がそれぞれの部署に出向いてお話する機会を作ることとしております。
これからも規制委員会の組織内の情報発信や対話について、力を入れていきたいと考えています。組織内での風通しの良い対話が進んでいくことにより、組織理念や文化が職員内に浸透し、定着していくよう取り組んで行きたいと考えています。

規制委員会は、科学的・技術的な根拠に基づき判断し、決定を致します。審査、検査のみならず様々な事項について、透明性と公開性についてはこれまでどおり確実に実施していきます。一方、分かりやすい情報発信についてさらに努力をしていく必要があると考えています。今後の規制の更なる改善のためには、関係者の皆様方との信頼関係の構築が不可欠であると考えています。そのためにも、様々な関係者との対話を積極的に進めていくつもりです。
優秀な人材の確保と育成については、継続的に努力して行くと共に、すべての職員が満足し働きやすい職場にすることも大切にしていきたいと考えています。

規制の改善は、変化を恐れず継続しなければなりません。
新しい中期目標の期間でも、安全規制、核セキュリティ、保障措置の分野で着実に改善を図っていくつもりです。審査、検査のバランスも考えてみる必要があるかもしれません。万が一の時の、放射線防護や緊急時の対応についても引き続き改善をしていく必要があります。

具体的には、次年度の業務計画の中で議論していきたいと思います。皆さんが取り上げる必要があると考える事項があれば、是非、遠慮無く声を上げて下さい。一人一人の声が規制委員会全体の活力に繋がると信じていますし、理想の原子力規制に結びついて行くと期待しております。

あの事故から14年の歳月が経ちました。「福島を決して忘れない」という私の気持ちは、決して揺らいだことはありません。職員の皆さんも、事故の教訓と反省は忘れておられないと信じております。規制委員会にとって東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の監視・指導も引き続き重要な業務です。

福島県の復興・再生という観点では、多くの方々の努力がその成果を実らせていることと思います。一方で、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉についていえば、まだまだ道半ばです。福島の痛みは、我が身の痛みです。廃炉がなしとげられなければ、私の痛みは続きます。福島が私の現場であるというつもりで、東京電力福島第一原子力発電所を訪問し、原子炉内に入り事故調査をしております。

今年の1月には、福島の若者と廃炉についての対話をすることが出来ました。また詳細については機会があれば皆さんにお話しさせていただきたいと思います。今回の若者と対話は、私にとっても非常に良い経験でありました。今後も福島の若者との対話は続けたいと思っています。福島の復興、福島の未来の役に立てるよう職員の皆さんと一緒に頑張って行きたいと思っています。

今年の4月から新しい中期目標期間が始まります。全ての職員が「原子力の確かな規制を通じて、人と環境を守る」という初心を今一度思い起こしていただいて、現場を体験し、職員相互の理解を促進し、それぞれが良き規制委員会の未来が創れるよう努力して下さい。

原子力に100パーセントの安全は無い、だからこそ、緊急事態は常に考えておかなければならないのです。そのような場合には、委員や幹部はいないかもしれない。
職員の皆様にはお願いをいたします。

『もしあなたが、リーダーに推されたとき、いつも「一差し舞える」よう、日々鍛錬をしてください。』

以上、私の訓示とします。
  1. 訓示映像別ウインドウで開きますYouTube
ページ
トップへ