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高経年化対策概要

原子力発電所では機器や設備について、法律で定められた定期的な検査や点検を行います。そうすることにより、機能や性能の低下(これを「劣化」といいます)の状況を的確に確認し、必要に応じて新技術や新材料を使用し、適切な補修や取替えを行い安全性を確保しています。

高経年化対策とは、長い間使用している原子力発電所に対し、上記のような安全確保活動をより慎重かつ適切に行うため、起こりうる劣化などの特徴を最新知見に基づき把握した上で、通常の保全活動に加えて新たな保全策を行うなど、機能や性能を維持・回復するために必要な保守管理を確実に実施することです。

高経年化対策の施設管理実施計画への反映と国の確認プロセス

  • 事業者は、長期施設管理方針を運転開始後30年以降の保全サイクルから、発電所の施設管理実施計画に反映し、適切に実施。
  • 国は、保全サイクルごとに事前に事業者から届出がなされる施設管理実施計画について、その妥当性を確認。
  • 施設管理実施計画の実施内容については、国が原子力規制検査において厳格に確認。

経年劣化事象と保全対策の例

主な経年劣化事象の例

(1)配管内の減肉(エロージョン/コロージョン)
配管の内面で、水流等による浸食(エロージョン)と腐食によるさび(コロージョン)が発生して、相互作用で減肉する現象。
(2)応力腐食割れ(SCC)
材料が腐食環境下で通常の破壊応力より低い応力でひび割れを生じる現象。材料、環境、応力の3因子により発生する。
(3)絶縁低下
発電機や変圧器、ケーブルなどで絶縁物として使用されているゴム、プラスチックなどが熱や放射線などを受け、時間の経過とともに変質して絶縁性能に低下が生じる現象。
(4)中性子照射脆化
金属が中性子の照射を受けて粘り強さが低下する現象。
(5)疲労割れ
材料にくり返し応力がかかることにより、割れを起こす事象。
(6)コンクリートの中性化
コンクリート中の水酸化カルシウムが空中の二酸化炭素と反応(中性化)し、強度が低下する事象。

通常保全と追加保全の主な内容(図はPWRの例)

上記保全対策の例図

通常保全と追加保全の主な内容(図はPWRの例)の拡大図

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