国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションの結果
令和6年8月2日
原子力規制委員会
令和6年8月2日、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームによる約2週間のIPPASミッションが終了し、原子力規制委員会はミッションチームによる結論がとりまとめられた報告書案の提示を受けました。
IPPASミッションの概要
IPPASミッションには、原子力規制委員会(日本政府)が当該ミッションの受入れを令和5年1月に表明したことを受けて、米国のサンディア国立研究所のジョセフ・サンドバル氏をリーダーとし、海外の8か国及びIAEAから合計10名の専門家が派遣されました。
当該ミッションは、「核物質及び原子力施設についての核セキュリティ体制(核物質の輸送を含む)」、「原子力施設における核セキュリティの実施状況」、「放射性物質並びに関連施設及び関連事業のセキュリティ(放射性物質の輸送を含む)」及び「コンピュータセキュリティ」を確認することを目的とし、7月22日から約2週間の活動が行われました。
まず、原子力規制庁、国土交通省の職員等から我が国の核セキュリティに関する規制体系、核物質及び放射性物質並びにこれら輸送の核セキュリティ措置等について説明を行い、ミッションチームとの間で質疑応答、意見交換を行いました。また、ミッションチームは7月26日に関西電力株式会社美浜発電所を訪問しました。
IPPASミッションレビューの結果
ミッションチームからは、「日本の核セキュリティ体制は強固である。」との見解が示されました。
また、ミッションチームから、日本の核セキュリティ体制及び実効性をさらに強化するための勧告や助言が示されるとともに、国際的な核セキュリティの持続的な改善に貢献し、他のIAEA加盟国にとっての参考となる良好事例が挙げられました。
IAEAのエレナ・ブグロバ核セキュリティ部長は、「9年以内に3回目のIPPASミッションを受けたことは、日本が国の核セキュリティ体制強化に意欲的であり、また国際的な核セキュリティに対する日本のコミットメントを示すものである。」と評価しました。
原子力規制委員会の山中委員長は、「ミッションチームから示された、勧告事項及び助言事項については、十分に受け止め、精査を行い、対応していく必要がある。IPPASミッションのレビュー結果は、日本の核セキュリティ体制の充実・強化に非常に有益なものとなる。我が国としては、今回のIPPASミッションの評価結果を踏まえ、関係省庁とも連携しつつ、引き続き核セキュリティ対策の向上に取り組んでいく。」旨述べました。
今後の対応
原子力規制委員会は、今後最終的に示される正式報告書の勧告事項や助言事項について、必要に応じ関係省庁と協議しつつ精査・検討を行い、既存の取組の継続的な改善の一環として適切な措置を講じます。
参考
IPPASミッションは、IAEA 加盟国からの要請に基づき、IAEA 主導のもと、核セキュリティに関する国際的な専門家で構成されたチームが、核物質及びその他の放射性物質並びに関連する施設の核セキュリティに関する、国の規制体系及び関連する施設における防護措置の実施状況のレビューを行うことで、改正核物質防護条約及びIAEA核セキュリティ勧告文書に準拠した核セキュリティの強化に資する助言等を行うものです。
我が国はこれまで、平成27年2月にIPPASミッションを受け入れ、平成30年11月にそのフォローアップミッションを受け入れており、今回3回目の受け入れとなります。
お問い合わせ先
長官官房放射線防護グループ 核セキュリティ部門
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電話(代表)03-3581-3352