再処理施設等における重大事故等のリスク評価に関する研究(令和8年度~令和12年度)
研究概要
研究課題
原子力規制検査では、合理的な範囲でリスク情報を活用し、効率的かつ効果的な検査に努めることとされています。検査対象となる設備・機器が多数に及ぶ再処理施設や混合酸化物(MOX: Mixed Oxide)燃料加工施設(以下「再処理施設等」という。)において、このような検査を実施するためには、適切なリスク情報の活用が必要です。また、安全性向上評価では、原子力規制委員会が事業者の評価手法とその技術的根拠を確認することとされており、再処理施設等の安全性向上評価において確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)が用いられる場合への備えも必要です。再処理施設等では、さまざまな核燃料物質や放射性物質が複数箇所で取り扱われ、想定される重大事故も多様であるため、リスク情報の活用や安全性向上評価の確認には、施設の特性を踏まえた評価手法と、重大事故の影響を把握するための技術的知見が求められます。
研究項目
本プロジェクトでは、再処理施設等の特徴やこれらの施設のリスク評価の現状を踏まえ、以下の2件に関する研究を行います。
- 再処理施設等におけるリスク評価手法
- 再処理施設の重大事故として想定される高レベル廃液貯槽における冷却機能喪失による蒸発乾固事象(注)
- 注(蒸発乾固事象):
- 再処理工程で分離された高レベル廃液は自己発熱しているため、常に冷却する必要があります。蒸発乾固事象は、何らかの原因で冷却機能が喪失し、廃液が自己の熱で沸騰・蒸発・乾固に至る事象であり、その過程では通常時よりも多くの放射性物質が空気中に放出される可能性があります。特に廃液に含まれるルテニウム(Ru)、セシウム(Cs)及びテクネチウム(Tc)は事象進展の過程で揮発性の化合物となる可能性があるため着目する元素となります。
研究内容
1.では、PRAによるリスク評価から結果を得るまでに時間を要するため、その間の代替となる評価結果が必要になると考えられる施設や、潜在的なリスクが低くPRAのような負荷の高い方法を用いる必要のない施設を対象とした、簡易的なリスク評価手法を検討します。また、再処理施設等では、施設全体にわたりさまざまな核燃料物質や放射性物質が複数箇所で取り扱われるという特徴を踏まえ、複数事象の重畳を念頭に、発電炉を対象に検討が進められているマルチユニットPRAを初めとするリスク評価手法について、その手法の特徴の分析や再処理施設等に適用する場合の適切性を検討します。
2.ではRuの詳細な移行挙動を把握するため、その移行挙動に関しこれまでの研究で示唆された様々な現象の複合的・相反的な関係を踏まえたデータの取得や評価モデルを作成します。また、事象進展過程において揮発する可能性が考えられるCs及びTcの移行挙動について、廃液乾固物中の共存物質、気相雰囲気等が及ぼす影響を把握するため、関連するデータを取得します。加えて、これまでに得られた研究成果等を踏まえた上で、事象進展過程を定性的に整理するとともに、解析的検討を行うことで、冷却機能の喪失による蒸発乾固事象における放射性物質の移行挙動の全体像を捉えるための知見を蓄積します。(図1及び図2)

図1 蒸発乾固時の事象進展に応じた放射性物質等の移行挙動の概念図
出典)国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構、平成31年度原子力規制庁委託成果報告書, 2020

図2 気体状Ruで想定される移行挙動の概念図
出典)国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構、平成28年度原子力規制庁委託成果報告書, 2017
成果の活用先
本プロジェクトで得られた知見は、再処理施設等におけるリスク情報を活用した原子力規制検査を実施する際の技術基盤として、また、事業者が実施する再処理施設等の安全性向上評価において、事業者が採用した評価手法及びその技術的根拠を原子力規制委員会が確認する際の技術基盤として活用します。
研究計画
(準備中)
安全研究成果報告
プロジェクト終了後に掲載予定
