更田豊志 前委員長 退任挨拶

2022年9月28日
原子力規制委員会前委員長 更田豊志

 更田です。25日をもって委員長を退任しました。
 私は10年前、原子力規制委員会の発足とともに委員になり、5年前に田中俊一前委員長の後任として2代目の委員長になりました。
私は研究機関の出身ですが、それまでとは全く異なる、思ってもいなかった経験を積むことが出来て、トータルでは幸運だったのかなと今では思っています。

 10年間、仕事をしてきて、今、原子力規制委員会を去るにあたり、皆さんにお伝えしたいのは、どうかずっと胸を張っていて下さいということです。
規制は社会活動の正義、公正さを保つために不可欠なものですが、原子力規制委員会のすべての活動は、職員の皆さん一人ひとりの正義感に負うところが非常に大きなものとなっています。
 各々の職務の内容や勤務地、職位、職階を問わず、職員の皆さん一人ひとりの正義感こそが、原子力規制委員会が頼りにしているものなのだと、10年間務めた今、実感しています。
 皆さんはフィールドに出ているプレイヤーであって、全員が実戦に参加しています。フィールドの外で観戦している者はしばしば、プレイヤーの様々な制約を十分に理解しようとしなかったり、ときには、意図的に無視してしまったりします。
 また、プレイヤー同士であっても、ポジションが違うと、一方の当事者が感じている困難や制約を、他方が理解し、共感することはなかなか難しいことです。
どのようなポジションにいても、自らの抱える困難や制約に対して世間や同僚の十分な理解が得られないことにいらだつことはしばしばあるだろうと思います。
 しかし、たとえ、周囲が期待するような、あるいは、自らが思うようなパフォーマンスが得られなかったとしても、皆さんの職務は自らの正義感から発し、支えられているものだということを忘れず、誇りを持って、ずっと胸を張っていていただきたいと思います。

 私は、みなさんと仕事が出来たことを誇りに思っています。どうか皆さん、一丸となって、これからも原子力規制委員会の正義を守って下さい。

 ありがとうございました。
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